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東京地方裁判所 平成3年(ワ)15000号 判決 1992年1月24日

東京都目黒区中町二丁目三二番四-一〇一号

原告

篠塚賢二

東京都大田区中馬込一丁目三番六号

被告

株式会社リコー

右代表者代表取締役

浜田広

右訴訟代理人弁護士

野上邦五郎

杉本進介

主文

原告の請求を棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

事実及び理由

第一  原告の請求

被告は、原告に対し、金五五〇万二〇〇〇円及びこれに対する昭和五六年六月一四日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

第二  事案の概略

一  本件は、原告が、別紙実用新案権目録記載の実用新案権(本件実用新案権)を有していたものであるところ、被告が別紙目録(一)記載の製品(商品名「リコーPPC九〇〇及びBAチェンジャー」、被告製品(一))、同目録(二)記載の製品(商品名「リコーPPC九〇〇及びセンタースリッター」、被告製品(二))及び同目録(三)記載の製品(商品名「リコピーPL五〇〇〇オート」、被告製品(三))を製造販売した行為が本件実用新案権を侵害するものであると主張して、主位的に不法行為による損害賠償請求権に基づき、予備的に不当利得返還請求権に基づき、被告製品(一)については、昭和五三年一月から同五六年六月一三日までの間に製造販売されたうち当初の一四八五台を除いたその後の一五台、被告製品(二)については、同五三年一月から同五六年六月一三日までの間に製造販売されたうち当初の一二三五台を除いたその後の一五台、被告製品(三)については、同五三年八月一五日から同五六年六月一三日までの間に製造販売されたうち当初の一〇三五台を除いたその後の一五台に係る各実施料相当額の支払を請求した事案である。

二  争いのない事実

1  原告は本件実用新案権を有していた。

2  被告は、業として、昭和五三年一月から同五六年六月一三日までの間に被告製品(一)及び(二)を、同五三年八月一五日から同五六年六月一三日までの間に被告製品(三)をそれぞれ製造販売した。

3  本件考案の実用新案登録出願の願書に添付した明細書(本件明細書)の実用新案登録請求の範囲は、本判決添付の実用新案公報の該当項記載のとおりである。

三  主たる争点

被告製品(一)ないし(三)が本件実用新案権に係る考案の技術的範囲に属するか否か。

第三  争点に対する判断

一  本件明細書の実用新案登録請求の範囲は、本判決添付の実用新案公報の該当項記載のとおりである(当事者間に争いがない。)から、本件考案は、「操作摘み9を有する可動刃4の緩挿軸8に幅截断用切刃7を固着」することを構成要素とするものである。

二  原告は、被告製品(一)及び(二)における「ロール紙cの幅截断用のカッター装置におけるカッターである下回転刃48と上回転刃49」並びに被告製品(三)における「ロール感光紙1の幅截断用のカッター装置におけるカッターである下回転刃4と上回転刃5」が、いずれも本件考案の「幅截断用切刃7」に該当し、被告製品(一)及び(二)における「上回転刃49装着の作動時常時回転の、緩挿状態にて支持されている軸45」と「下回転刃48装着の作動時常時回転、かつ上下動する、緩挿状態にて支持されている軸44」、並びに被告製品(三)における「上回転刃5装着の作動時常時回転の、緩挿状態にて支持されている軸45」と「下回転刃4装着の作動時常時回転、かつ上下動する、緩挿状態にて支持されている軸46」とが、いずれも本件考案の「軸8」に該当すると主張する。

しかしながら、本件考案における「軸8」は「操作摘み9を有する可動刃4の緩挿軸8」であり、かつ「可動刃4」は「引き出したテープT類を剪断する可動刃4」であるところ、被告製品(一)及び(二)における「上回転刃49」「下回転刃48」が各装着されている「軸45」「軸44」は、長さ切断用カッターである「ロール紙cを所望の長さに切断するための固定刃21及び回転刃22」の軸とは別個の軸であり、また被告製品(三)における「下回転刃4」「上回転刃5」が各装着されている「軸46」「軸45」も、長さ切断用カッターである「ロール感光紙1の固定刃2、回転刃3からなるロール感光紙1の長さ切断用カッター」の軸とは別個の軸であるから、被告製品(一)ないし(三)の構造が、本件考案の「操作摘み9を有する可動刃4の緩挿軸8に幅截断用切刃7を固着」するという構成を具備するものとは認められない。

また、原告は、「幅截断用カッターが、長さ切断用カッターの軸に設けられたもの」と「幅截断用カッターが、幅截断用カッターの軸(長さ切断用カッターの軸とは別個の軸)に設けられたもの」とは、設計上の微差(単なる設計変更)にすぎないと主張する。しかしながら、「緩挿軸8に幅截断用切刃7を固着」する構成は、「緩挿軸8と別個の軸に幅截断用切刃7を固着する」構成とは、技術思想が明らかに異なるものであって、このような構成の相違が原告主張のように「設計上の微差(単なる設計変更)」であるということはできない。

三  以上のとおり、原告の本訴請求は、被告製品(一)ないし(三)が本件考案の技術的範囲に属さないことが明らかであるから、その余の点について判断するまでもなく、理由がない。

(裁判長裁判官 一宮和夫 裁判官 宍戸充 裁判官 足立謙三)

実用新案権目録

一 登録番号 第九七八六〇二号

二 考案の名称 カッター装置付きテープホルダー

三 出願 昭和四一年六月一三日

四 出願公告 昭和四七年一月二二日

五 登録 昭和四七年九月二九日

目録(一)

一 図面の簡単な説明

第1図は、全体的部材位置を示す正面配置図である。

第2図-Aは、給紙部及び紙の長さ切断用カッター部分を示す左側面図である。

第2図-Bは、給紙部及び紙の長さ切断用カッター部分を示す斜視図である。

第2図-Cは、紙の長さ切断用カッター部分の作動機構を示す図である。

第3図は、紙の幅截断用カッター部分を示す左側断面図である。

第4図は、第3図のA-A断面図である。

第5図は、紙の幅截断用カッター部分の中央断面図である。

二 図面符号の説明

a 複写機の本体

b 転写紙の幅截断用カッター部分

c ロール紙(転写紙)

d 感光体ドラム

e 幅截断用カッター部分bの本体

1 圧板

2 コンタクトガラス

3 照明用ランプ

4 ミラー

5 帯電器

6 露光部

7 現像部

8 転写部

9 分離部

10 除電用帯電器

11 クリーニング部材

12 除電用ランプ

20 フィード・ローラ

21 固定刃

22 回転刃。この刃22は軸61に装着されている。

23 搬送ローラ

24 ロール紙保持板

25 保持板の取手

26 回転刃作動用ツマミ

27 ソレノイド

28 リンク機構

29 ベルト搬送用ローラ

30 搬送ベルト

31 定着部

32 排紙ローラ

33 排紙トレー

40 紙の幅截断用カッターの作動ツマミ

41 カム

42 モータ

43 カム41、50の軸

44 下回転刃48の軸

45 上回転刃49の軸

46 案内板

47 軸44の軸受

47' 軸45の軸受

48 下回転刃

49 上回転刃

50 カム

51 スライド板

51a スライド板の突起

51b スライド板の突起

52 調整ネジ

53 長穴

54 スプリング

55 搬送用下ローラ

56 搬送用上ローラ

57 側板本体

58 受板

59 ネジ

60 固定刃21と回転刃22の間隙部

61 回転刃22を装着した緩挿状態にて支持されている軸

三 構造の説明

〔一〕 複写機の本体aの上面には、コンタクトガラス2上に載置された原稿(図示せず)を固定する圧板1が設けられており、照明ランプ3により原稿を照射した光像がミラー4等を介して感光体ドラムd上の露光部6に達するようになっている。

〔二〕 感光体ドラムdの周囲には、作像の為の帯電器5、露光部6、現像部7、転写部8、分離部9、除電用帯電器10、クリーニング部材11及び除電用ランプ12がそれぞれ配置されている。

〔三〕 感光体ドラムd上に形成されたトナー像を転移させるためのロール紙(転写紙)cの保持板24が、複写機の本体aの下部に取手25により出し入れできるように着脱自在に設けられており、この保持板にはロール紙(転写紙)cを所望の長さに切断するための固定刃21及び回転刃22が設置されている。

〔四〕 複写機の本体a内には、さらにロール紙(転写紙)cを搬送するための搬送ローラ23、ベルト搬送用ローラ29に装着されているベルト30、排紙ローラ32が設けられており、又複写機の本体aの外側面には必要に応じてロール紙(転写紙)cの幅を截断する幅截断用カッター部分b及びその排紙トレー33が装備されている。

〔五〕 ロール紙(転写紙)cの幅截断用カッター部分bには、作動ツマミ40が側面に設けられており、このツマミ40を支持する軸43にはカム41及びカム50が装着されている。

また、軸44には、軸受47により上下動可能に支持されており、かつ、下回転刃48、及びスプリング54を固定支持する調整ネジ52を軸支している。下回転刃48はこれに係合する突起51bを有するスライド板51に長穴53を形成することにより左右方向への移動を可能とし、またこのスライド板51には、前記カム50と接合する突起51aも設けられており、このスライド板51は側板本体57に固定された受板58にネジ59により取り付けられている。前記下回転刃48と接合して案内板46、ロール紙(転写紙)c、搬送用下ローラ55及び上ローラ56により送られて来るロール紙(転写紙)cの幅截断を行う上回転刃49は軸45に装着されている。

〔六〕 これら下回転刃48、上回転刃49を保持する軸44ないし45、及び転写紙搬送用下ローラ55ないし上ローラ56等の軸は側板本体57の下部に配置されたモータ42の駆動力から側板57の外の一側端に配設されたスプロケット及びチェーン(いずれも図示せず)を介して回転力を得ており、複写機の作動状態の時は常に回転している。

四 作動の説明

〔一〕 複写機の本体aの上面に設けられたプリントスイッチ(図示せず)を押すと、コンタクトガラス2上に載置された原稿を照明ランプ3が移動しつつ露光し、ミラー4等を介して光像が、回転する感光体ドラムdに達する。感光体ドラムd上には、帯電器5によって予め均一に電荷が付与されており、露光部6において前記光像が照射され、原稿に対応した静電潜像が感光体ドラムd上に形成される。

この静電潜像は現像部7において、静電吸着力によりトナーを吸引してトナー像となる。

このトナー像は感光体ドラムdの回動により、転写部8に達し、ロール紙保持板24から搬送ローラ23を経て送り出されてくるロール紙(転写紙)c上に転移する。転写を終えて分離部9においてロール紙(転写紙)cは感光体ドラムdから剥離され搬送ベルト30上を定着部31の方向へ送られる。

転写と分離を終えた感光体ドラムdは除電用帯電器10により除電され、クリーニング部材11によって清掃される。そして除電ランプによって帯電電位を合わせ、次の作像のための帯電器5に達する。

以上の工程によって作像が繰り返し行われる。

〔二〕 ロール紙(転写紙)cはロール紙保持板24にロール状に支持されており、こ保持板24にはフィードローラ20及びロール紙(転写紙)cの長さ切断用の固定刃21及び回転刃22が一体的に取り付けられており(第2図参照)、ロール紙(転写紙)cはその先端を固定刃21の直後に有し、フィードローラ20に銜えられた状態で待機している。

給紙信号を受けるとフィードローラ20がクラッチ(図示せず)により一回転し、これによりロール紙(転写紙)cの先端が常時回転している搬送ローラ23に銜え込まれて給紙を開始する。

搬送ローラ23によって送られるロール紙(転写紙)cは前述のごとく転写部8でトナー像を転写され、分離部9で分離されて定着部31へと送られる。そして予め選択された長さだけ送り出されるとソレノイド27が作動し、リンク機構28の作用により回転刃22が矢印×方向に回転し固定刃21と協働してロール紙(転写紙)cを切断する(第2図-Cを参照)。切断されたロール紙(転写紙)cは更に搬送された排紙ローラ32を経てロール紙(転写紙)cの幅截断用カッター部分bへ送り込まれる。

〔三〕 転写紙の幅截断用カッター部分bはツマミ40を回動することにより作動又は不作動状態となる。ツマミ40を右に回すとツマミ40の軸43に軸支されたカム41が回転し、軸受47を押し上げることにより、下回転刃48を支持する軸44が上昇し、これと同時に下回転刃48も上昇して上回転刃49と噛み合う。

一方、軸43の回転によりカム50が回動し、スライド板51の突起51aと係合が外れ、これによってスプリング54により下回転刃48は上回転刃49と噛み合う方向へ移動すると同時にこのスプリング54によって押圧される。この時スライド板51と突起51bが下回転刃48と係合していることにより、長穴53の中を下回転刃48と同方向に移動する。

この状態で案内板46及び複数個の搬送用下ローラ55ないし上ローラ56によって送り込まれたロール紙(転写紙)cは、下回転刃48と上回転刃49との作用により所定の幅に截断されつつ排紙トレー33上に排出される。

〔四〕 反対に、幅截断用カッター部分bを不作動状態即ちツマミ40を左に回して元に戻すと軸43が前述と逆方向に回動して、軸受47を介して軸44を下降させ、同時にカム50が、同様に逆方向に回動し、スライド板51の突起51aと係合する。これによりスライド板51はやはり前述と逆方向に長穴53を介して移動し、突起51bと係合する下回転刃48を上回転刃49と離反する方向へ移動させる。その結果、上回転刃49と下回転刃48は噛み合わず幅截断を行わなくなる。

〔五〕 前記のとおり、幅截断用カッター部分bのツマミ40を適宜作動、または不作動状態にすることによって、ロール紙(転写紙)cの幅截断を必要に応じて行うことができる。

五 作用効果の説明

本体a+eにおいて、(複写するための機構によって複写することができるほか)、ロール紙(転写紙)cの長さ切断用カッター装置における長さ切断用カッター(間隙部60を形成する固定刃21及び引き出したロール紙(転写紙)cを剪断する回転刃22)によって引き出したロール紙(転写紙)cを横方向に切断することができるとともに、ロール紙(転写紙)cの搬送用上下ローラ56、55により隔離された位置を保った緩挿の関係にあるロール紙(転写紙)cの幅截断用カッター装置における幅截断用カッター(ツマミ40を回すことによって操作される、引き出すロール紙(転写紙)cを縦方向に截断する、軸45、44装着の、上下回転刃49、48)によってロール紙(転写紙)cを縦方向に切断することができる。

第1図

<省略>

第2図-A

<省略>

第2図-C

<省略>

第2図-B

<省略>

第3図

<省略>

第4図

<省略>

第5図

<省略>

目録〔二〕

左に指摘する他は、構造及び作動とも目録〔一〕に記載の構造及び作動ほかとすべて同一であるので、同目録記載の説明及び同目録添付図面を援用する。

一 目録〔一〕記載の乾式電子複写機及び専用オプション装置はB列幅のロール紙(転写紙)cをA列幅に截断するものであり、本目録記載の乾式電子複写機及び専用オプション装置はロール紙(転写紙)cの中央を截断してその幅を二分するものである。よって、目録〔一〕の右装置では、幅截断用カッターである下回転刃48、上回転刃49がロール紙(転写紙)cの最大幅(B列幅)の中心基準側からA列幅の位置に配設されている。これに対し、本目録記載の右装置では、中央部に配置されている。

二 この幅截断用カッターの配置の違いから、ロール紙(転写紙)c、搬送用下ローラ55及び搬送用上ローラ56の配設位置が異なり、これに伴って、ロール紙(転写紙)cの案内板46の形状が異なっている。

目録〔三〕

一 図面の簡単な説明

第1図は、全体的部材位置を示す側断面図である。

第2図は、幅截断用カッターの切換レバーを示す側面図である。

第3図は、幅截断用カッターの細部を示す詳細図である。

二 図面符号の説明

1 ロール感光紙

2 固定刃

3 回転刃。この回転刃3は軸59に装着されている。

4 下回転刃

5 上回転刃

6 無端ベルト

7 露光シリンダー

8 ランプ

9 原図紙

10 原図紙案内板

11 原図紙排紙板

12 現像部

13 感光紙排紙板

13' 感光紙排紙板(後側)

14 冷却ブロワー

20 切換ツマミ

21 ツマミ軸

22 切換爪

23 切換連結レバー

24 切換連結軸

25 切換連結アーム

26 ピン

27 切換連結板

28 ピン

29 切換アーム

30 カム軸

31 下回転刃駆動スプロケット

32 上回転刃駆動スプロケット

33 原図フィードローラ駆動スプロケット

34 アイドルスプロケット

35 感光紙フィードローラ駆動スプロケット

36 チェーン

40 右側板

41・42 上回転刃軸45の軸受

43・44 下回転刃軸46の軸受

45 上回転刃軸

46 下回転刃軸

47 下回転刃上下移動カム

48 下回転刃左右移動カム

49 スライド板

49a スライド板の突起部

49b スライド板の突起部

50 下回転刃保持部材

51 スプリング保持板

52 スプリング

53 ガイド板

54 ロール感光紙の支持装置

55 搬送ローラ対

56 感光紙排送用無端ベルトのテンションローラ

56' 差押コロ

57 複写機の機体

58 固定刃2と回転刃3の間隙部

59 回転刃3を装着した緩挿状態にて支持されている軸

三 構造の説明

〔一〕 複写機の機体57下部には、ロール感光紙1が支持装置54によって支持されている。

〔二〕 ロール感光紙1の通路上には固定刃2、回転刃3からなるロール感光紙1の長さ切断用カッターが設けられ、更にロール感光紙1の進行方向に沿ってその先方には回転刃4、5からなる紙の幅截断用カッターが紙の幅方向中央位置に設けられている。

〔三〕 複写機の機体57中央部には露光シリンダー7が設けられ、露光用のランプ8が内蔵されており周囲には紙搬送用の無端ベルト6が掛け渡されている。

〔四〕 複写機の機体57前方(第1図において左側)には原図紙9を機体57内の露光部に送り込むための原図紙案内板10が設けられている。

〔五〕 複写機の機体57上部には現像部12及び感光紙排紙板13が設けられている。また機体57下部には感光部を冷却するための冷却ブロワー14が設けられている。

〔六〕 複写機の機体57前方には紙の幅截断用カッターの切換ツマミ20が設けられており、そのツマミ軸21には切換爪22が固着され、切換連結レバー23と噛み合うようになっている。切換連結レバー23には切換連結軸24を中心に回動する切換連結アーム25が固着されており、該アームと切換連結板27の他端には切換アーム29がピン28により固定され該アームはカム軸30に結合されている。

〔七〕 下回転刃駆動スプロケット31、上回転刃駆動スプロケット32、原図フィードローラ駆動スプロケット33、アイドルスプロケット34及び感光紙フィードローラ駆動スプロケット35はチェーン36によって互いに連結され、回転が伝わるようになっている。

〔八〕 右側板40には軸受41・43が固定されており、他方の軸受42・44とによりそれぞれ上回転刃軸45、下回転刃軸46が回転自在に支持されるようになっている。カム軸30には下回転刃上下移動カム47及び下回転刃左右移動カム48が設けられている。下回転刃上下移動カム47は軸受44を押し上げることにより下回転刃4を上方に移動させ、下回転刃左右移動カム48は、下回転刃保持部材50と突起部49bで係合するスライド板49の他の突起部49aと係合するように配置され該突起部49aを押すことにより、スライド板49を介して下回転刃4を左右に移動させるようになっている。

下回転刃軸46上にはスプリング保持板51が固着され該保持板と下回転刃保持部材50との間にスプリング52が設けられ、下回転刃4に右方習性(第3図)を与えている。上回転刃と下回転刃の中間位置にはロール感光紙1の案内をするガイド板53が設けられている。

四 作動の説明

〔一〕 第1図において原図紙案内板10に原図紙9を載せ、複写機内に送り込むと図示しない検知手段により原図紙の先端が検知されて、ロール感光紙1が送り出され、原図紙とロール感光紙1の先端が合わされた状態で露光部へ送り込まれる。ロール感光紙1の後端は原図紙の長さに合わせて回転刃3が時計方向に回動し、固定刃2との協働によりロール感光紙1の長さ切断が行われる。無端べルト6と露光シリンダー7によって挟持された原図紙とロール感光紙1はランプ8によって原図紙側から光照射されジアゾ化合物が分解され感光紙には潜像が形成される。露光を終えた原図紙は図示しない分離装置によってロール感光紙1と分離され、原図排紙板11上に排出され、一方ロール感光紙1は現像部12においてアンモニアガスにより現像され、ロール感光紙1の長さに応じて感光紙排紙板13又は13'上へ排出される。

なお、ロール感光紙1は必要に応じてその幅中央位置において下回転刃4及び上回転刃5により截断できる。

〔二〕 紙の幅截断用装置について第2図及び第3図を用いて説明する。第2図において、切換ツマミ20を手前側に回転させるとツマミ軸21の回動により、切換連結レバー23が下方に動かされる。同時に切換連結軸24が反時計方向に回転するため切換連結アーム25が軸24を中心に反時計方向に回動し切換連結板27を左方向へ引っ張り、カム軸30を反時計方向に回転させる。第3図においてカム軸30は矢印aの方向に回転したことになる。カム軸には下回転刃左右移動カム48が設けられているため該カムの回転によりスライド板49の突起部49aが押され、スライド板は左方向へ移動することになり、その結果他方の突起49bが下回転刃保持部材50をスプリング52に抗して左方へ動かすことになる。

一方カム軸30には他端に下回転刃上下移動カム47が設けられているため、カム軸の回転により軸受44を押し上げ下回転刃46を軸受43側を支点として押し上げる。ツマミ軸21の回転は下回転刃左右移動カム48をカムの最小位置から最大位置迄回転させると左方へ移動されるスライド板49はカムの最大位置を過ぎた時点でスプリング52のカムより元の位置へ復帰させられる。この時下回転刃上下移動カム47は最大位置をとる。すなわち、ツマミ軸21を一杯に回すことにより下回転刃4は上昇しながら左方向から上回転刃5に圧接し、破線で示す位置に固定される。

下回転刃4及び上回転刃5は図示しない駆動源からそれぞれの駆動スプロケット31、32に回転が伝達され両刃の噛み合い点で送られてくるロール感光紙1の中央位置を截断することになる。

〔三〕 反対にロール感光紙1の幅截断用カッターを作動させない場合はツマミ軸21を元に戻すことによりカム軸30が前述と逆方向に回転して軸受44を介して下回転刃軸46を下降させ、同時に下回転刃左右移動カム48が逆方向に回転し、スライド板49を左方向へ移動させ、元位置へ復帰させる。その結果、上回転刃5と下回転刃4との噛み合いがはずれ、ロール感光紙1の幅截断は行われなくなる。

〔四〕 作用効果の説明

機体57において、(複写するための機構によって複写することができるほか)、ロール感光紙1の長さ切断用カッター装置における長さ切断用カッター(間隙部58を形成する固定刃2及び引き出したロール感光紙1を剪断する回転刃3)によって引き出したロール感光紙1を横方向に切断することができるとともに、ロール感光紙1の搬送ローラ対55により隔離された位置を保った緩挿の関係にあるロール感光紙1の幅截断用カッター装置における幅截断用カッター(切換ツマミ20を回す事によって操作される、引き出すロール感光紙1を縦方向に截断する、軸45、46装着の、上下回転刃5、4)によって引き出すロール感光紙1を縦方向に切断することができる。

第1図

<省略>

第2図

<省略>

第3図

<省略>

<51>Int.Cl. B 65 d <52>日本分類 1 34 C 102.12 日本国特許庁 <11>実用新案出願公告

昭47-1919

<10>実用新案公報

<11>公告 昭和47年(1972)1月22日

<54>カツター装置付きテープホルダー

<21>実願 昭41-55569

<22>出願 昭41(1966)6月13日

<23>考案者 佐藤和男

国分寺市新町3の412の20

< >出願人 藤塚賢二

東京都品川区 の 6の5の46

代理人 弁理士 丹生藤吉 外2名

図面の簡単な説明

第1図は本考案に係るカツター装置付きテープホルダーの 断 面図、第2図はカツター機構の斜視図、第3図はカツター作動機構の 面図である.

考案の詳細な説明

本考案は接着テープ類を切断するカツター装置を施したホルダーに関するものである.

而して本考案は巻回テープ類を保持する本体1に固定刃2を有する引出口3を形成し、該引出口3には固定刃2と共に、引出したテープT類を  する可動刃4を回動自在に設けたカツター装設付テープホルダーにおいて、操作摘み9を有する可動刃4の緩挿軸8に幅裁断用切刃7を因着し、軸8と引出口3の間に一対の案内ロール5.6を装架した構造を要旨とするものである.尚図中10は軸8に遊挿した可動刃4の作動レバーを示す

本考案は前記の構成であるから、テープを必要量引出し、レバー10を操作して可動刃4を作動させることにより、可動刃4と固定刃により前記のテープ類を剪断することができるのであつて、特に本案のものは摘み9を回わして幅裁断用切刃7を回わして引出すテープを長手方向に沿つて裁断できる効果を奏し、実益のある考案である.

実用新案登録請求の範囲

巻回テープ類を保持する本体1に固定刃2を有する引出口3を形成し、該引出口3には固定刃2と共に、引出したテープT類を剪断する可動刃4を回動自在に設けたカツター装置付テープホルダーにおいて、操作摘み9を有する可動刃4の援挿軸8に幅裁断用切刃7を固着し、軸8と引出口3の間に一対の案内ロール5.6を装架した構造.

引用文献

実公 昭40-2558

実公 昭15-13714

実公 昭33-10688

第1図

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第2図

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第3図

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実用新案公報

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自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
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